こんにちは!今回の記事は今月よりはじめた症例問題の2回目の投稿になります!1回目の投稿も是非、解いてみてください!
早速問題です!じっくり考えながら解いてみましょう!
症例問題②
25歳男性。社会人サッカーチームに所属している。試合中にボールを取るために足を伸ばした際に、相手選手に押され、前傾姿勢となり、膝関節伸展位で股関節屈曲強制を強いられた。受傷時は大腿部後面中央付近に痛みがあると訴える。歩行時にも同様の部位に疼痛が生じ、SLRテストでは健側80度/患側は50度であった。また、疼痛部位には陥凹が触知できた。
この病態の特徴とその評価について正しいのはどれか。
1.羽状筋に多く発生する。
2.受傷部位のレントゲン撮影は病態の確定診断に必須である。
3.皮下出血斑は受傷直後から顕著にみられる。
4.腹臥位での膝関節屈曲筋力は健側と変わらない。
症例問題解答
答えは①羽状筋に多く発生するです。
症例問題の解説
この問題の病態は何だかわかりましたか??
この問題は病態が明記されていません。この場合には文章の中から病態を見つけ出す必要があります。
今回の症例問題の病態はハムストリング肉離れです。
まずは、柔道整復理論の教科書をもとに評価の特徴を見てみましょう!
発生機序:ハムストリングが伸張される肢位(股関節屈曲位・膝関節伸展位)➡遠心性収縮
例)スライディングの際に状態が上体が屈曲を強制される。ボールを取ろうとした際に、体幹が前傾するなど
問診:ハムストリング部の疼痛(筋腱移行部に多い)、音が聞こえるような衝撃を感じる。
視診:大腿部後面に腫脹、皮下出血斑(数時間~数日経過後にみられる)
触診:筋硬結や陥凹(重症度に応じてみられる)。※陥凹は数時間経過後は腫脹により触れにくくなる。
動的評価:①筋の収縮時痛:腹臥位で膝関節屈曲運動を行った際の疼痛(自動抵抗運動)
②筋の伸張時痛:背臥位で股関節屈曲・膝関節伸展位とする(他動運動)
徒手検査:SLR(straight leg raising)テスト、下肢伸展挙上テスト
健常者では70~90度程度の挙上が可能だが、重症度が高いほど挙上角度が低くなる。
画像所見:MRI・超音波検査にて損傷度を確認できる。※¹
合併症(併発症):重症度が高いと坐骨結節の裂離骨折を認める。※²
その他(危険因子):①筋疲労がある②先行する筋損傷の存在③柔軟性・コンディション低下④不適切なウォーミグアップ⑤下肢長の不一致⑥大量の発汗によるミネラルの枯渇⑦大腿四頭筋とのアンバランスなど
※¹ ①MRI1
②超音波検査2
※² レントゲン3
肉離れの中でもハムストリングの肉離れは発生頻度が最も高いと言われています!肉離れの発生は遠心性収縮によって発生します(図4)。遠心性収縮となる関節の肢位を覚えておくことが重要ですね!また、肉離れは筋の種類(紡錘状筋、羽状筋、輪筋、二腹筋など)の中でも羽状筋に最も多くみられます!ハムストリングは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3筋から構成されますが、羽状筋は大腿二頭筋と半膜様筋です!臨床でもとても重要になりますので、覚えておきましょう!
以上になります。ありがとうございました。
引用文献
- Rubin DA. Imaging diagnosis and prognostication of hamstring injuries. AJR Am J Roentgenol. 2012 Sep;199(3):525-33. doi: 10.2214/AJR.12.8784. PMID: 22915392. ↩︎
- Crema MD, Yamada AF, Guermazi A, Roemer FW, Skaf AY. Imaging techniques for muscle injury in sports medicine and clinical relevance. Curr Rev Musculoskelet Med. 2015 Jun;8(2):154-61. doi: 10.1007/s12178-015-9260-4. PMID: 25708212; PMCID: PMC4596169. ↩︎
- Surgical fenestration and rehabilitation of a sports traumatic non-union ischial tuberosity fracture – Case report ↩︎
- 奥脇透.肉離れの診かた.MB Orthop.34(2):1-9.2021 ↩︎
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