こんにちは!最近はサムネイルの画像をAIに作ってもらってます!ほんとAIって便利ですね!
今回の問題は第25回柔道整復国家試験問題に出題された問題です!
よかったら、過去の投稿も見てみてください!
症例問題
25歳の男性。1か月前にバスケットボール中に左膝を打撲した後、膝蓋骨上外側部の圧痛と運動中や運動後の鈍痛で来所した。単純エックス線写真を示す。膝の腫脹や安静時痛、骨偏位や不安感(apprehension)はなく、踵殿距離も左右差はなかった。考えられるのはどれか。
1.膝蓋骨脱臼
2.膝蓋骨骨折
3.分裂膝蓋骨
4.膝蓋靱帯炎
症例問題解答
答えは3.分裂膝蓋骨です!
この問題は膝蓋骨骨折と分裂膝蓋骨の解答が多くみられたので、しっかり解説していきたいと思います!
症例問題解説
分裂膝蓋骨について
分裂膝蓋骨は先天的または筋の牽引力※により膝蓋骨が2つ以上に分裂しているもの(大半は二分膝蓋骨)。ほとんどが無症状に経過するが、スポーツ活動(膝伸展のover use)や外傷(打撲など)を契機に有痛性となることがある。有痛性分裂膝蓋骨の症状は分裂部に沿った圧痛、動揺痛である。好発年齢は10~16歳。
分裂膝蓋骨はソープ(saupe)分類により3つに分類される(下図)1
分類ごとの発生頻度はⅠ型5%、2型20%、3型75%と3型が多いと言われています。
治療法は、スポーツ活動を一時的に中止させ、痛みの強い場合にはギプス固定2を行う。使いすぎている筋のストレッチを行う。
※従来、先天的なものと考えられているが、オスグッドシュラッター病やシンディングラーセン・ヨハンソン病などと同様に筋の牽引力が原因の1つになるともいわれています。
膝蓋骨骨折について
膝蓋骨骨折は直達外力は横骨折、縦骨折、粉砕骨折などの形をとる。膝蓋骨骨折の症状は骨折部に沿った限局性圧痛、安静時痛、高度な腫脹がみられる。転位が大きい場合には骨折端に陥凹を触れる。
- 横骨折
- 縦骨折
- 粉砕骨折
- 裂離骨折
- 骨軟骨骨折
膝蓋骨脱臼について
大腿骨に対して、膝蓋骨が脱臼することをいう。跳躍、飛び降りなど膝関節が過度に伸展する動作や、スポーツのカッティング時に膝関節に回旋する動作が加わることで発生する。
- 側方脱臼:外側脱臼(多い)・内側脱臼
- 垂直脱臼
- 水平脱臼
- 回転脱臼
膝蓋骨外側脱臼(最も多い)は様々な原因※により発生する。脱臼時には膝関節軽度屈曲位の状態で動かすことができず、歩行不能。視診では膝蓋骨が外側に偏位しているため、膝関節の横径が増大してみえ、評価は容易である。整復後には反復性脱臼となる可能性が高い。また、膝蓋骨を外方に圧迫すると脱臼しそうな感覚を呈し、患者は不安感(apprehension sign)を訴える。
※外的要因:膝関節の外転や下腿の外旋を強制する外力
内的要因:膝蓋骨・大腿骨の形態異常・外反膝、Qアングルの増大、大腿骨頸部過度前捻、内側広筋の弱化、全身関節弛緩
膝蓋靱帯炎(ジャンパー膝)
ジャンプ・急な加速、減速を繰り返す競技(バスケットボール・バレーボールなど)に多くみられ、膝関節伸展機構に過度な張力が加わり発生する。症状は膝蓋骨下極部に圧痛、運動痛を認める。他動的に膝関節を屈曲させると疼痛を生じる(踵殿距離)は増大する。
こんな競技に多い!ジャンパー膝 (有病率)3
- バレーボール(14.4%)
- ハンドボール(13.3%)
- バスケットボール(11.8%)
- 陸上競技(6.9%)
- サッカー(2.5%)
解くポイント!
25歳の男性。1か月前にバスケットボール中に左膝を打撲(発生機序が一か月前の打撲➡全く運動出来ないほどの痛みではない?)した後、膝蓋骨上外側部の圧痛と運動中や運動後の鈍痛(膝蓋骨上外側の痛み)で来所した。単純エックス線写真(膝蓋骨上外側部の連続性がない)を示す。膝の腫脹や安静時痛、骨偏位や不安感(apprehension)(現時点で脱臼はなし、また不安感もない)はなく、踵殿距離も左右差はなかった。考えられるのはどれか。
以上になります!ありがとうございました。
参考文献
- Kajetanek C, Thaunat M, Guimaraes T, Carnesecchi O, Daggett M, Sonnery-Cottet B. Arthroscopic treatment of painful Sinding-Larsen-Johansson syndrome in a professional handball player. Orthop Traumatol Surg Res. 2016 Sep;102(5):677-80. doi: 10.1016/j.otsr.2016.05.011. Epub 2016 Jul 19. PMID: 27450859. ↩︎
- 森戸伸治、保利俊雄、髙宮啓彰、園田玲子、保利喜英.少年期有痛性分裂膝蓋骨の治療.整形外科と災害外科68:(3)442-446,2019 ↩︎
- Zwerver J, Bredeweg SW, van den Akker-Scheek I. Prevalence of Jumper’s knee among nonelite athletes from different sports: a cross-sectional survey. Am J Sports Med. 2011 Sep;39(9):1984-8. doi: 10.1177/0363546511413370. Epub 2011 Jul 7. PMID: 21737835. ↩︎
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