問題
解答&解説
問1.肩鎖関節上方脱臼の整復法で誤っているのはどれか。(第29回)
- 助手は患者の後方に立つ。
- 助手は患者の両上腕部を把持する。
- 術者は患肢を前下方に牽引する。
- 術者は患側の鎖骨遠位端部を下方へ圧迫する。
解答&解説
正解は3番の”術者は患肢を前下方に牽引する”です。
~肩鎖関節上方脱臼の整復法~(実技編P213)
患者:ベッドまたは椅子に端坐位
助手:患者の後方に立ち、両上腕部を把持、後上方に持ち上げ保持する。
術者:一方の手で患肢を把持し、肩関節40~60°外転位で上方に押し上げながら他方の手で鎖骨遠位端部を下方に圧迫する。
問2.肩鎖関節上方脱臼の3度損傷で正しいのはどれか。(第30回)
- 肩峰が角状に突出してみえる。
- 反跳症状がみられる。
- 頭部を健側に傾ける。
- 上肢は短縮する。
解答&解説
正解は2番の”反跳症状がみられる”です。反跳症状はピアノキー症状とも呼ばれ、突出した鎖骨遠位端を上方から押すと下がり、離すとすぐに脱臼位に戻る現象。
1.肩峰が角状に突出してみえるのは肩関節脱臼の症状である。
3.肩鎖関節脱臼、胸鎖関節脱臼、鎖骨骨折など鎖骨に症状がみられる例では胸鎖乳突筋の緊張を避けるため、頭部は患側に傾ける。
4.患側の肩は下垂してみえるが、上肢の短縮はみられない。
理論編P300~302
問3.肩鎖関節脱臼整復時に上腕に対する助手の動作で正しいのはどれか。(第30回)
- 下方へ牽引する。
- 上方へ押し上げる。
- 内方へ牽引する。
- 外方へ押し上げる。
解答&解説
正解は2番の”上方へ押し上げる”です。肩鎖関節上方脱臼の助手の動作は患者の後方に立ち、両上腕部を把持、後上方に持ち上げ保持します。(実技編P213)
問4.肩鎖関節上方脱臼の症状で正しいのはどれか。(第31回)
- 肩峰部が階段状に突出する。
- 肩関節の外転運動が制限される。
- 不全骨折では変形がみられない。
- 完全脱臼ではピアノキー症状がみられない。
解答&解説
正解は2番の”肩関節の外転運動が制限される”です。肩関節の外転運動では肩関節(肩甲上腕関節)だけでなく、肩鎖関節・胸鎖関節といった鎖骨の運動も関与します。肩鎖関節脱臼をすることで肩関節の運動が制限されます。
1.肩峰部が階段状に突出する➡鎖骨遠位端部が階段状に突出する。
3.不全骨折では変形がみられない。➡不全骨折でも鎖骨遠位端部が肩峰に対し1/2ほど上方に転位する。
4.完全脱臼ではピアノキー症状がみられない。➡完全脱臼ではピアノキー症状がはっきり見られる。
理論編P301~302参照
問5.肩鎖関節上方脱臼で誤っているのはどれか。(第32回)
- 高齢者に好発する。
- トッシーの分類がある。
- 直達外力による発生が多い。
- 鎖骨遠位端が上方に転位する。
解答&解説
正解は1番の”高齢者に好発する”です。肩鎖関節上方脱臼は15~30歳の男性に好発する。肩鎖関節脱臼はトッシー分類により1~3度で分類される。転倒・転落による肩峰と地面の衝突による直達外力での発生が多い。鎖骨遠位端が上方に肩峰が下方に転位する階段状変形がみられる。
理論編P301~302参照
問6.右肩鎖関節上方脱臼患者の衣服着脱の介助で正しいのはどれか。(第33回)
- 右から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、右から着せる。
- 左から脱がせ、左から着せる。
- 左から脱がせ、右から着せる。
解答&解説
正解は4番の”左から脱がせ、右から着せる”です。肩鎖関節脱臼に限らず、上肢に係る損傷で衣服の着脱時には健側から脱がせ、患側から着せることが基本である。
問7.肩鎖関節上方脱臼の整復法で誤っているのはどれか。(オリジナル問題)
- 助手は患者の後方に位置する。
- 助手は患者の患肢を後上方に引く。
- 術者は患側の肩関節40~60°外転位に持ち上げる。
- 術者は肩峰部を下方に圧迫する。
解答&解説
正解は4番の”術者は肩峰部を下方に圧迫する”です。術者は肩峰部ではなく、鎖骨遠位端部を下方に圧迫します。
術者:一方の手で患肢を把持し、肩関節40~60°外転位で上方に押し上げながら他方の手で鎖骨遠位端部を下方に圧迫する。
問8.肩鎖関節上方脱臼(第3度)の症状でないのはどれか。(オリジナル問題)
- 反跳症状
- 烏口鎖骨靱帯断裂
- 肩鎖関節部の階段状変形
- 肩峰の突出
解答&解説
正解は4番の”肩峰の突出”です。肩鎖関節上方脱臼の3度損傷は完全脱臼を指します。3度損傷では肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯の断裂がみられます。また、反跳症状(ピアノキー症状)がみられ、肩鎖関節部には階段状変形が出現します。
肩峰の突出は肩関節脱臼などで肩峰下が空虚になるとみられます。
以上になります。
コメント