問題
問題&解説
問1.肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。(第28回)
- ヒューター三角は正常である。
- 肘関節は直角位に固定される。
- 前腕長は短縮してみえる。
- 自動運動は可能である。
解答&解説
正解は3番の”前腕長は短縮してみえる”です。肘関節後方脱臼は橈骨・尺骨がともに上腕骨の後方に移動します。そのため、前腕長は短縮してみえます。
1.ヒューター三角(肘関節90度屈曲位で内側上顆・外側上顆・肘頭を結んだ三角)は乱れる(肘頭高位)
2.肘関節は軽度屈曲位(30~40度)で弾発性固定となる。
3.脱臼のため自動運動は不能となる。
理論編P311
問2.肘関節後方脱臼で誤っているのはどれか。(第29回)
- 幼少年期に好発する。
- 前腕長が短縮する。
- 前方関節包が損傷する。
- 後療法は自動運動を基本とする。
解答&解説
正解は1番の”幼少年期に好発する”です。肘関節後方脱臼は青壮年に好発します。幼少年期では同じ受傷機序で上腕骨顆上伸展型骨折が発生することが多いです。
理論編P310
問3.肘関節後方脱臼の整復法で正しいのはどれか。(第30回)
- 肘関節を伸展位とする。
- 回内・回外中間位で牽引する。
- 前腕長軸方向に牽引する。
- 肘関節を過伸展して整復を確認する。
解答&解説
正解は3番の”前腕長軸方向に牽引する”です。
~肘関節後方脱臼の整復法~(理論編P312)
①患者を坐位又は背臥位とし、助手が上腕を固定する。
②術者は一方の手で手関節部を前腕回外位で把持、他方の手で肘関節部を把持し、脱臼肢位(軽度屈曲位)のまま前腕長軸方向に牽引する。
③牽引を持続したまま、肘関節屈曲させ、肘関節部に当てた手指の一部で上腕遠位端部を前方から後方へ、残りの手指で肘頭を後方から前方に圧迫して整復する。
④整復後は、軽く肘関節屈曲、前腕の回内外を試みて整復状態を確認する。
問4.高所からの転落で肘に激しい腫脹と疼痛がある場合、最初に評価するべきでないのはどれか。(第31回)
- 手指は動くか。
- 圧痛はどこか。
- 橈骨動脈は触知できるか。
- 肘関節可動域はどの程度か。
解答&解説
正解は4番の”肘関節可動域はどの程度か”です。激しい腫脹や疼痛がある場合には骨折だけでなく、神経損傷や血管損傷などの合併症が考えられます。これらの合併症を評価することが最優先になります。可動域は骨折の治癒過程での評価になります。
問5.肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。(第32回)
- ヒューター三角は正常である。
- 上腕三頭筋腱は索状に触知できる。
- 肘関節は伸展位で固定されている。
- 上腕骨遠位端は後方に突出している。
解答&解説
正解は2番の”上腕三頭筋腱は索状に触知できる”です。肘関節後方脱臼では上腕骨に対し前腕両骨が後方に脱臼するため、肘頭に付着する上腕三頭筋腱が隆起してみえます。
1.ヒューター三角は乱れる(肘頭高位)
3.肘関節は軽度屈曲位(30~40°)で弾発性固定となる。
4.前腕両骨が後方に突出する。
理論編P311
問6.肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。(第33回)
- 前腕長は延長してみえる。
- 肘頭は前側方へ変形突出する。
- 上腕二頭筋腱の索状隆起を触れる。
- 肘関節は30~40度の屈曲位となる。
解答&解説
正解は4番の”肘関節は30~40度の屈曲位となる”です。弾発性固定の肢位が肘関節屈曲30~40度となります。
1.前腕長は短縮してみえる。
2.肘頭は後方に変形突出する。
3.上腕三頭筋腱の索状隆起を触れる。
理論編P311
問7.肘関節後方脱臼に併発しやすいのはどれか。(第33回)
- 肘頭骨折
- 上腕三頭筋腱損傷
- 上腕骨内側上顆骨折
- 肘関節外側側副靱帯損傷
解答&解説
正解は3番の”上腕骨内側上顆骨折”です。肘関節後方脱臼では様々な骨折を合併するといわれています。合併する可能性のある骨折➡上腕骨内側上顆、上腕骨外側上顆、尺骨鈎状突起、橈骨頭、橈骨頚部など。理論編P311
問8.肘関節後方脱臼の合併症に考えにくいのはどれか。(オリジナル問題)
- 外傷性骨化性筋炎
- 上腕骨内側上顆骨折
- 筋皮神経麻痺
- 内側側副靱帯損傷
解答&解説
正解は3番の”筋皮神経麻痺”です。筋皮神経は筋枝が烏口腕筋、上腕筋、上腕二頭筋を支配し、皮枝が前腕外側の皮膚を支配します。肘関節付近では筋皮神経は表層を走るため、脱臼による損傷は少ないと言われてます。
問9.肘関節後方脱臼の整復法について正しいのはどれか。(オリジナル問題)
- 術者は前腕を回内位で末梢牽引する。
- 術者は肘関節を90度屈曲位で牽引する。
- 術者は肘頭部を前方から圧迫する。
- 助手は上腕を固定する。
解答&解説
正解は4番の”助手は上腕を固定する”です。詳しい整復法については問3の解説で確認してください。
1.前腕は回外位で末梢牽引します。
2.肘関節は脱臼肢位(30~40°屈曲位)のまま牽引します。
3.肘頭部は後方から前方に向かって圧迫します。
以上になります。
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