問題
解答&解説
問1.ヤーガソンテストで抵抗を加えるときの患者への動作指示はどれか。(第28回)
- 肘の屈曲
- 肘の伸展
- 前腕の回内
- 前腕の回外
解答&解説
正解は4番の”前腕の回外”です。ヤーガソンテストは上腕二頭筋長頭腱炎のテストになります。
実施法:患者の肘関節90°屈曲位、前腕を回内させ、検者は患者の手をしっかりつかんで抵抗下に前腕の回外運動を行わせる。結節間溝に疼痛が誘発されれば陽性である。理論編P469
問2.スピードテストで誤っているのはどれか。(第30回)
- 結節間溝部の疼痛を確認する。
- 患者に肩屈曲を指示する。
- 肩部と前腕遠位部を把持する。
- 前腕を回内位で行う。
解答&解説
正解は4番の”前腕を回内位で行う”です。スピードテストは上腕二頭筋長頭腱炎のテストです。
実施法:肘関節伸展位・前腕回外位・肩関節45°屈曲位で患肢を前に差し出させ、肩関節の屈曲運動をさせる。検者は肩部と前腕部に手を当て、屈曲運動に対し抵抗を加える。結節間溝部に疼痛が出現すれば陽性である。理論編P469
スラップ損傷で関節唇の断裂部位はどれか。(第31回)
- 上方
- 下方
- 前方
- 後方
解答&解説
正解は1番の”上方”です。スラップ(SLAP)損傷は肩関節の上方関節唇(上腕二頭筋長頭腱付着部)が剥離・断裂します。投球動作の繰り返しで発生しやすいと言われています(コッキング期後期の外転外旋強制されるタイミング)。理論編P355
問4.上腕二頭筋長頭腱の断裂で誤っているのはどれか。(第32回)
- 腱の変性で発生頻度が高くなる。
- 外旋運動で発生する。
- 大結節との摩擦が関与する。
- 筋腹の膨隆が遠位に移動する。
解答&解説
正解は3番の”大結節との摩擦が関与する”です。上腕二頭筋長頭腱は関節上結節に起始し、上腕部前面を下行するため大結節と摩擦が生じる可能性は低いです。小結節と摩擦が生じやすいと言われています。理論編P352
問5.圧痛が上腕骨近位前方に限局するのはどれか。(第33回)
- SLAP損傷
- 動揺性肩関節
- リトルリーガー肩
- 上腕二頭筋長頭腱炎
解答&解説
正解は4番の”上腕二頭筋長頭腱炎”です。上腕二頭筋長頭腱炎は結節間溝部(上腕骨近位部前面)に疼痛が生じます。
1.SLAP(スラップ)損傷は上方関節唇の損傷のため、関節窩上方に疼痛が生じる。
2.動揺性肩関節自体で疼痛を生じることはない。
3.リトルリーガー肩は上腕骨近位骨端線離開である。骨端線の障害のため、肩関節周囲に疼痛が生じる。
理論編P352~358
問6.伸張性収縮を評価するのはどれか。(第33回)
- スピードテスト
- ホーキンスサイン
- ヤーガソンテスト
- ドロップアームサイン
解答&解説
正解は1番の”スピードテスト”です。スピードテストは上腕二頭筋長頭腱炎の徒手検査になります。実施法は問2の解説を参照してください。意義は上腕二頭筋長頭腱に対し伸張性収縮の負荷をかけることにより結節間溝内で腱の疼痛が誘発されます。
問7.上腕二頭筋長頭腱断裂の症状で正しいのはどれか。(オリジナル問題)
- 肘関節の他動運動は可能である。
- 上腕二頭筋の筋腹は近位に移動する。
- 回内筋力の低下がみられる。
- チェアーテストが陽性となる。
解答&解説
正解は1番の”肘関節の他動運動は可能である”です。上腕二頭筋長頭腱炎は腱の炎症のため自動運動や自動抵抗運動により疼痛が誘発されます。他動運動では腱への負荷が少ないため運動自体は可能になります。
2.筋腹は遠位に移動します。
3.回外筋力の低下がみられます。
4.スピードテスト・ヤーガソンテストが陽性になります。※チェアーテストは外側上顆炎(テニス肘)のテスト法です。
問8.上腕二頭筋長頭腱損傷について正しいのはどれか。(オリジナル問題)
- 大結節側で腱が摩擦を起こし損傷する。
- 10~20代に好発する。
- 結節間溝に圧痛を生じる。
- 上腕横靱帯を断裂すると大結節を乗り越える形で脱臼することが多い。
解答&解説
正解は3番の”結節間溝に圧痛を生じる”です。上腕二頭筋長頭腱は結節間溝を通過します。小結節との間で摩擦が生じ損傷するため、結節間溝部に疼痛が生じます。
1.小結節側で摩擦が生じる。
2.40代以降に生じる(腱が変性するため)
4.脱臼する場合には小結節を乗り越えることが多い。
以上になります。
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