必修問題対策!(大腿四頭筋打撲・ハムストリングス肉離れの診察)

問題

解答&解説

問1.大腿部前面打撲の合併症が起こりやすいのはどれか。(第28回)

  1. 骨化性筋炎
  2. 関節強直
  3. 脂肪塞栓症候群
  4. フォルクマン(Volkmann)拘縮
解答&解説

正解は1番の”骨化性筋炎”です。骨化性筋炎は筋組織の骨化現象になります。上腕や大腿部に好発します。大腿部前面(大腿四頭筋)の打撲では重症度が高いほど、腫脹が強くみられ、この腫脹により骨化性筋炎の発生頻度が高くなります。理論編P384

2.関節強直:骨・軟骨が原因で関節の運動障害がみられるもの

3.脂肪塞栓症候群:何らかの原因により血管内に脂肪が流入し、脳・肺・皮膚などに詰まる病態。骨盤骨骨折、大腿骨骨折でみられる。

4.フォルクマン拘縮:前腕の阻血性拘縮小児の上腕骨顆上骨折の合併症として注意が必要。

問2.大腿四頭筋肉離れが起こりやすいのはどれか。(第29回)

  1. 大腿直筋
  2. 中間広筋
  3. 内側広筋
  4. 外側広筋
解答&解説

正解は1番の”大腿直筋”です。肉離れは2関節筋に好発します。大腿四頭筋は大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の4つから構成されますが、2関節筋は大腿直筋のみです。股関節伸展、膝関節屈曲位を強制された際に発生します。理論編P384

問3.ハムストリングス肉離れの好発部位はどれか。(第29回)

  1. 起始部
  2. 筋腹
  3. 筋腱移行部
  4. 停止部
解答&解説

正解は3番の”筋腱移行部”です。大腿四頭筋やハムストリングスの肉離れは筋腱移行部に好発するといわれています。理論編P358

問4.ハムストリングス肉離れを評価するテストはどれか。(第29回)

  1. SLRテスト
  2. トーマステスト
  3. トンプソンテスト
  4. ニュートンテスト
解答&解説

正解は1番の”SLRテスト”です。SLRテストは背臥位で膝伸展位の状態で下肢を挙上するテストです。腰部椎間板ヘルニアのテストとしても有名です。理論編P464。ハムストリングスの肉離れは膝関節伸展、股関節屈曲位にて損傷するためSLRテストを行うと疼痛が誘発されます。

2.トーマステスト:股関節屈曲拘縮のテスト法

3.トンプソンテスト:アキレス腱断裂のテスト法

4.ニュートンテスト:仙腸関節障害のテスト法

問5.SLRテストで陽性になるのはどれか。(第30回)

  1. 大腿部前面の打撲
  2. 大腿四頭筋の肉離れ
  3. 下腿三頭筋の肉離れ
  4. 大腿二頭筋の肉離れ
解答&解説

正解は4番の”大腿二頭筋の肉離れ”です。SLRテストは膝関節伸展、下肢挙上するため、ハムストリングスが伸張されます。よってハムストリングスを構成する大腿二頭筋の肉離れになります。半腱様筋・半膜様筋の肉離れでもSLRテストが陽性になります。理論編P386

問6.ハムストリングス肉離れの検査はどれか。(第31回)

  1. FNSテスト
  2. SLRテスト
  3. ルーステスト
  4. ニュートンテスト
解答&解説

正解は2番の”SLRテスト”です。解説については問3、5を参照してください。

問7.大腿部前面打撲で中等度損傷に当たるのはどれか。(第31回)

  1. 膝関節屈曲20度まで可能
  2. 膝関節屈曲40度まで可能
  3. 膝関節屈曲80度まで可能
  4. 膝関節屈曲120度まで可能
解答&解説

正解は3番の”膝関節屈曲80度まで可能”です。大腿部の打撲は軽度、中等度、高度に分類することができます。

  • 軽度:疼痛、腫脹は軽く、膝関節は90°以上屈曲が可能なのも
  • 中等度:疼痛、腫脹はやや強く、膝関節は90°まで屈曲できないもの
  • 高度:疼痛、腫脹は強く、膝関節は45°まで屈曲できないもの

問8.ハムストリングス肉離れで正しいのはどれか。(第32回)

  1. 筋腹に好発する。
  2. 求心性収縮で起こりやすい。
  3. 下肢長の不一致が原因となりえる。
  4. 損傷程度の評価にHBDを用いる。
解答&解説

正解は3番の”下肢長の不一致が原因となりえる”です。ハムストリングス肉離れは様々な要因で発生します。

  • 筋疲労
  • 先行する筋損傷の存在
  • 柔軟性、コンディショニング低下
  • 不適切なウォーミングアップ
  • 下肢長の不一致
  • 発汗によるミネラル枯渇
  • 大腿四頭筋との筋力のアンバランス

1.筋腱移行部で好発する

2.遠心性収縮で起こりやすい

4.HBD(heel buttock distance)踵殿距離:腹臥位で踵と殿部との距離。大腿四頭筋の肉離れの検査

問9.尻上がり現象がみられるのはどれか。(第32回)

  1. 中間広筋損傷
  2. 大腿直筋損傷
  3. 半腱様筋損傷
  4. 大腿二頭筋損傷
解答&解説

正解は2番の”大腿直筋損傷”です。尻上がり現象は腹臥位で股関節を伸展のまま、膝関節を他動的に屈曲すると、膝の屈曲制限があり、それ以上に膝を強く曲げようとすると殿部の床面から持ち上がってくる。大腿直筋の拘縮や損傷でみられる。理論編P383

問10.ハムストリングス肉離れの受傷しやすい肢位はどれか。(オリジナル問題)

  1. 膝関節屈曲、股関節伸展強制
  2. 膝関節屈曲、股関節屈曲強制
  3. 膝関節伸展、股関節屈曲強制
  4. 膝関節伸展、股関節伸展強制
解答&解説

正解は3番の”膝関節伸展、股関節屈曲強制”です。解説は問3、5を参照してください。

問11.大腿四頭筋打撲後に高度な腫脹、皮膚の光沢、膝関節の他動屈曲による疼痛がみられた。最も考えられる合併症はどれか。(オリジナル問題)

  1. 骨化性筋炎
  2. 脂肪塞栓症候群
  3. 外傷性皮下気腫
  4. 急性コンパートメント症候群
解答&解説

正解は4番の”急性コンパートメント症候群”です。急性コンパートメント症候群は高度な腫脹により、区画の内圧が上昇することで阻血症状(疼痛、蒼白、拍動消失、感覚異常、麻痺)がみられます。皮膚の光沢は高度な腫脹の際にみられる症状です。また、コンパートメント症候群の症状に筋の他動的伸展による疼痛があります。膝関節を他動的に屈曲することで疼痛がみられます。理論編P384

以上になります。

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