こんにちは!今回は”上腕骨外科頚外転型骨折の診察・整復”の対策です!
過去6年間では10問ほど出題されています!(毎年1~2問程度)
問題
解答&解説
問1.上腕骨外科頚外転型骨折の後で良くみられるのはどれか。(第28回)
- 骨化性筋炎
- ズデック(Sudeck)骨萎縮
- 関節拘縮
- 阻血性骨壊死
解答&解説
正解は3番の”関節拘縮”です。上腕骨外科頚外転型骨折では、肩関節30°外転(可能な限り内転位)、30~40°水平屈曲位、肘関節90°屈曲位、前腕回内回外中間位で4~5週間固定します。その後は三角巾で提肘します。固定除去後には肩関節の拘縮を合併することがあります。
1.骨化性筋炎➡異所性骨化とも呼ばれる筋組織の骨化現象。上腕や大腿部でみられる。
2.ズデック骨萎縮➡有痛性の骨萎縮。橈骨遠位端部骨折や踵骨骨折時に合併する。
4.阻血性骨壊死➡骨折に伴う血流障害により骨片が壊死する。大腿骨頚部骨折、手の舟状骨骨折、距骨骨折でみられる。
骨折の後遺症は理論編のP36を参照
問2.上腕骨外科頚外転型骨折の整復操作で正しいのはどれか。(第28回)
- 第1助手は牽引用の帯で外方に引き肩を固定する。
- 第2助手は末梢牽引をしながら内転させる。
- 術者は両手で遠位骨片を内方へ圧迫する。
- 術者は遠位骨片を前方に圧迫する。
解答&解説
正解は2番の”第2助手は末梢牽引しながら内転させる”です。上腕骨外科頚外転型骨折は術者、第1助手、第2助手の3名で整復を行います。
患者➡背臥位、腋窩に大きめの枕子を挿入する。
第1助手➡三角巾まはた帯を腋窩に通し、上内方に牽引・固定する(対抗牽引に備える)。
第2助手➡肘関節90°屈曲位で上腕遠位部および前腕遠位部を把持させ、術者は両手で遠位骨折端部を把持する。遠位方向へ牽引しながら、上腕部を外転させ短縮転位をとり、両骨折端を離開させる。牽引を緩めずに遠位骨片を内転させる。最後に遠位骨片を前方挙上させる。
術者➡第2助手が遠位骨片を内転した際に両手で遠位骨折端部を外方へ引き出す(内方転位の除去)。第2助手が前方挙上した際に小指球で遠位骨折端部を前方から圧迫(前方転位の除去)。
問3.上腕骨外科頚外転型骨折で正しいのはどれか。(第29回)
- 三角筋の膨隆は消失する。
- 遠位骨片端は外方へ向く。
- 近位骨片は軽度内転する。
- 遠位骨片は前外上方へ転位する。
解答&解説
正解は3番の”近位骨片は軽度内転する”です。
~上腕骨外科頚外転型骨折の転位の特徴~
- 骨軸の変化:上腕軸の骨折端部は内方を向く
- 骨片転位:近位骨片は軽度内転、遠位骨片は軽度外転する。上肢を下垂位におくと遠位骨折端部は前内上方へ転位する。骨折部は前内方凸変形を呈する(理論編P184)
三角筋の膨隆が消失するのは肩関節脱臼の症状です。
問4.上腕骨外科頚外転型骨折の受傷直後患者に対する介助方法で誤っているのはどれか。(第29回)
- 上腕部を胸壁に密着させる。
- 前腕部を把持し安定させる。
- 衣類を患側から脱がせる。
- 上肢と頭部を把持し背臥位とする。
解答&解説
正解は3番の”衣類を患側から脱がせる”です。上肢のケガの際には健側から脱がせることが基本である。衣類を着る際には患側から行う。
1.上腕部を胸壁に密着させる➡患肢の動揺を防ぐため(実技編P5,76)
2.前腕部を把持し安定させる➡上肢全体の重さを軽減させるため(実技編P5)
4.上肢と頭部を把持し背臥位とする➡骨折部と頭部の安定のため
問5.上腕骨外科頚外転型骨折の整復で第1助手の牽引帯の牽引方向はどれか。(第30回)
- 上方
- 下方
- 前方
- 外方
解答&解説
正解は1番の”上方”です。
上腕骨外科頚外転型骨折の第1助手の役割は第2助手が行う末梢牽引に対して、対抗牽引し体幹・上肢の動揺を防ぐ(体幹を固定)ことです。三角巾や帯を腋窩に通して上内方に牽引します(実技編P76)
問6.上腕骨外科頚外転型骨折の整復で改善するのはどれか。(第30回)
- 前内方凸変形
- 前外方凸変形
- 後内方凸変形
- 後外方凸変形
解答&解説
正解は1番の”前内方凸変形”です。近位骨片は軽度内転、遠位骨片は軽度外転する。上肢を下垂位におくと遠位骨折端部は前内上方へ転位する。骨折部は前内方凸変形を呈する(理論編P184)
問7.上腕骨外科頚外転型骨折で誤っているのはどれか。(第31回)
- 肩峰下に上腕骨頭を触知
- 三角筋部に腫脹著明
- 軽度の限局性圧痛
- 軋轢音を触知
解答&解説
正解は3番の”軽度の限局性圧痛”です。上腕骨外科頚外転型骨折の疼痛は外科頚部に著明にみられます(理論編P184)。
1.脱臼ではないため肩峰下に上腕骨頭が触知できます。
2.外科頚骨折は関節包外骨折のため、三角筋部に腫脹が著明にみられます。
4.異常可動性と軋轢音が確認可能 ※筋層が厚いこと、骨折部の噛合により確認できないこともある。
問8.上腕骨外科頚外転型骨折で誤っているのはどれか。(第32回)
- 前外方凸の変形がみられる。
- 肩関節の可動域が制限される。
- 軸圧を加えると痛みが増強する。
- 広範囲に皮下出血斑が出現する。
解答&解説
正解は1番の”前外方凸の変形がみられる”です。
外科頚外転型骨折の転位:近位骨片は軽度内転、遠位骨片は軽度外転する。上肢を下垂位におくと遠位骨折端部は前内上方へ転位する。骨折部は前内方凸変形を呈する(理論編P184)
2.肩関節の自動運動制限は著明である。※噛合骨折の場合わずかに自動運動可能
3.限局性圧痛、介達痛は著明にみられる。
4.皮下出血斑は経過とともに上腕内側部~前胸部に出現する。
問9.上腕骨外科頚外転型骨折の診察で誘導後の手順はどれか。(第33回)
①整復の準備
②損傷部の確認
③全身状態の観察
- ①➡②➡③
- ①➡③➡②
- ②➡①➡③
- ③➡②➡①
解答&解説
正解は4番の”③➡②➡①”になります。上腕骨外科頚外転型骨折に限らず、外傷時には誘導後、全身状態の観察(意識障害・ショック症状・体型など)し、問診➡視診➡触診などの損傷部の確認に移ります。評価により骨折・脱臼などの判断した場合整復の準備を行います(実技編P5~6)
問10.上腕骨外科頚外転型骨折で誤っているのはどれか。(第33回)
- 三角筋の膨隆は消失する。
- 上腕軸の骨折端部は内方へ向く。
- 噛合骨折では自動運動が可能である。
- 皮下出血斑は上腕内側部から前胸部に出現する。
解答&解説
正解は1番の”三角筋の膨隆は消失する”です。上腕骨外科頚外転型骨折では、上腕骨頭が肩峰下に存在するため三角筋の膨隆が消失しません。三角筋の膨隆が消失するのは肩関節脱臼になります。
問11.上腕骨外科頚外転型骨折の整復で第1助手・第2助手の整復操作にないのはどれか。(オリジナル問題)
- 直圧操作
- 外転操作
- 内転操作
- 牽引操作
解答&解説
正解は1番の”直圧操作”です。骨折部に直圧を加えるのは術者の役割になります。
第1助手➡三角巾まはた帯を腋窩に通し、上内方に牽引・固定する(対抗牽引に備える)。
第2助手➡肘関節90°屈曲位で上腕遠位部および前腕遠位部を把持させ、術者は両手で遠位骨折端部を把持する。遠位方向へ牽引しながら、上腕部を外転させ短縮転位をとり、両骨折端を離開させる。牽引を緩めずに遠位骨片を内転させる。最後に遠位骨片を前方挙上させる。
以上になります。間違えた問題はしっかり見直しましょう!
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