柔道整復師国家試験「解剖学」11年分を分析してわかった、出るところと出ないところ

こんにちは!からだnaviです!

今回は柔道整復師国家試験の解剖学について、第24回から第34回までの11年分・全330問を項目別に集計しました。どの分野が何問出ているのかを数字で示し、学習の優先順位と進める順番まで具体的にまとめています。

まず全体の数字から確認します。

解剖学は毎年30問が出題されます。11年分で合計330問。国家試験全体を見渡しても、出題数が最も多い科目のひとつです。

そして、この330問のうち234問、つまり71%が「内臓系」「骨格系」「神経系」の3分野に集中しています。

裏を返せば、教科書の残りの大部分からは3割しか出ていない、ということでもあります。この事実を知っているかどうかで、同じ勉強時間でも到達点はまったく変わってきます。

以下、その内訳を1つずつ見ていきます。※動画でも解説してます(動画は一番最後に⇩)

全体の割合について

大項目ごとの11年間の出題数です。

上から順に、内臓系93問、骨格系73問、神経系68問。この3つが突出しています。骨格系には筋系も含まれるため、実質的には「運動系全体」と考えてください。

注目していただきたいのは、その下の層です。脈管系28問、感覚器17問、体表解剖17問、内分泌系16問、解剖学概説15問。この5分野を合計すると93問になり、単独では最多の内臓系と並びます。

1つひとつは小さく見えるため後回しにされがちですが、毎年1〜3問ずつ、確実に出題されています。合否が1問で分かれる試験ですから、ここを取りこぼすと上位3分野で稼いだ点が消えてしまいます。

最下段の映像解剖は11年で3問のみ。ただし第30回から登場した新しい項目なので、ゼロにはしないでおきましょう。

30問の内訳とは?

同じデータを、1年あたりの平均出題数に直したものです。こうすると各分野の「重さ」が実感しやすくなります。

**内臓系は8.5問/年。**毎年8問以上が出ています。科目によっては、これだけで1科目分に相当する出題数です。解剖学の中にもう一科目入っていると考えてもよいでしょう。

続いて骨格系6.6問、神経系6.2問。この3つを足すと毎年およそ21問、30問中の7割が射程に入ります。

4位の脈管系が2.5問、5位以下は1.5問・1.5問・1.5問・1.4問とほぼ横並びです。

ここで誤解しないでいただきたいのは、「毎年1.5問」は決して小さな数字ではないということ。優先順位はつけますが、切り捨てていいのは最下段の1つだけです。

内臓器系の割合

最頻出の内臓系、93問の内訳です。消化器31問がトップで、呼吸器23問、生殖器21問、泌尿器18問と続きます。

消化器を最優先で。 口から肛門まで消化管をひと続きで追ったうえで、肝臓・胆嚢・膵臓の位置関係と、導管がどこにつながるかまで押さえてください。総胆管と膵管がどこで合流し、どこに開くのか。ここは繰り返し問われるポイントです。

呼吸器は図で覚える。 気管から気管支への分岐は左右で角度が違います。なぜ右のほうが誤嚥しやすいのか、理由とセットで理解しましょう。肺葉と肺区域、胸膜と縦隔の構成も、文章ではなく図で頭に入れてください。

泌尿器と生殖器は合わせて39問。 腎臓は内部構造とネフロン、尿路は腎盂から尿管・膀胱・尿道までを一本の線で追います。生殖器も同様に「順路」として整理するのがコツです。なお生殖器21問の内訳は男性13問・女性8問で、どちらも毎年のように問われます。

骨格系の割合

骨格系73問という数字は、「骨34問」と「筋39問」を足したものです。骨だけでなく筋肉も含めた運動系全体の数だと考えてください。

まず骨の34問。内訳は各論27問に対して総論は7問と、圧倒的に各論に偏っています。骨の一般的な構造や分類ではなく、個々の骨の特徴や関節の構成が問われます。

次に筋の39問。上肢の筋13問、下肢の筋12問で、合わせると筋系全体の約64%。筋の学習は四肢が山場です。

対策は3点。

四肢の筋は「4点セット」で覚える。 起始・停止・支配神経・作用。この4つをバラバラに覚えると必ず崩れます。表を1枚つくり、上腕・前腕・手、大腿・下腿・足の順に部位ごとに潰していきましょう。

骨のランドマークは筋とセットで。 結節・粗面・突起といった出っぱりは、筋の起始停止と直結しています。「大結節にどの筋がつくか」と考えれば、骨と筋を同時に覚えられます。

そして柔道整復理論との相乗効果。 骨折や脱臼の転位がなぜあの方向に起こるのか――あれは筋の作用で決まります。解剖学で覚えた筋が、そのまま柔道整復理論の得点になります。

神経系の割合

内訳を見ると末梢神経が41問と突出しており、脳16問、脊髄8問、神経系の基礎4問と続きます。神経系の攻略は、まず末梢神経です。

その41問をさらに分けると、脊髄神経20問、脳神経15問、自律神経6問。

最重要は脊髄神経。 頚神経叢・腕神経叢・腰神経叢・仙骨神経叢から、どの枝が出てどの筋を支配するか。そして皮膚分節(デルマトーム)との対応。ここは一枚の図にまとめてしまうのが早道です。

脳神経は12対を丸ごと。 名称、脳のどこから出るか、感覚・運動・副交感の別、支配対象。結局のところ、表を作って毎日眺めるのが最速です。ゴロ合わせも有効ですが、必ず表と併用してください。

脳の16問も無視できません。 大脳の葉と機能局在、脳幹、小脳、脳室と髄液の流れ、そして脳の動脈(ウィリス動脈輪)まで押さえておきましょう。

最後にひとつ。末梢神経とは、要するに「筋の支配神経」です。 前項の4点セットの4つめがまさにそれでした。つまり筋系と神経系は、同時に進めたほうが圧倒的に効率がいいのです。

その他の割合

脈管系28問、感覚器17問、体表解剖17問、内分泌系16問、解剖学概説15問――合計93問。神経系の68問を上回ります。

しかも、いずれも毎年1〜3問が確実に出題されます。範囲が狭いぶん、投じた時間に対する見返りが最も大きい層でもあります。

  • 脈管系:心臓の構造(弁・刺激伝導系)、大動脈と大静脈の走行、主要動脈の分岐、門脈系
  • 感覚器:眼球の構造と屈折、耳の伝音経路、平衡覚、皮膚の受容器
  • 体表解剖:触知できる骨指標、動脈の拍動点、筋の走行。柔道整復の実技と直結する分野です
  • 内分泌系:各内分泌腺の位置と分泌ホルモン。生理学の「内分泌」と重複するので同時学習が効率的
  • 解剖学概説:人体の区分と方向用語、細胞小器官、4大組織。毎年1〜2問の確実な得点源

過去の近年の違いについて

出題傾向の変化も確認しておきましょう。前半6年(第24〜29回)と直近5年(第30〜34回)で、1年あたりの平均を比較したものです。

増えているのは、感覚器(1.2→2.0問)、体表解剖(1.3→1.8問)、解剖学概説(1.2→1.6問)、映像解剖(0→0.6問)。

お気づきでしょうか。増えているのは、いずれも前項で挙げた「中頻度の5分野」です。

一方、減っているのが内臓系(9.2→7.6問)、脈管系(2.8→2.2問)、骨格系(6.8→6.4問)。

ただし、ここで慌てる必要はありません。内臓系は減ったといっても7.6問で依然1位であり、上位3分野の順位はまったく動いていないからです。

内臓系・骨格系・神経系という軸はそのままに、伸びている分野を「上乗せ」で拾いにいく。これが正しい対応です。体表解剖や映像解剖といった、より臨床に近い項目が増えているという流れは、今後も続くと見ておいたほうがよいでしょう。

学習のロードマップ

最後に、具体的な進め方を4ステップでまとめます。

STEP 1|骨と筋を同時に 骨のランドマーク → その骨につく筋 → その筋の支配神経。この順番で、1部位ずつ進めます。まずは上肢から。

STEP 2|神経を筋に重ねる 腕神経叢・腰仙骨神経叢を、STEP 1で覚えた筋に貼り付けていきます。まっさらな状態から神経叢を覚えようとすると挫折しますが、筋を先に知っていればあとから重ねるだけで済みます。脳神経12対も、ここで並行して表にしましょう。

STEP 3|内臓系を一気に 消化器 → 呼吸器 → 泌尿器・生殖器の順。位置関係は、体幹の断面図で立体的につかんでください。

STEP 4|Bランクで底上げ 脈管系・感覚器・体表解剖・内分泌系・解剖学概説。範囲が狭いので、直前期にまとめて仕上げられます。

そして最大のコツを。

科目を縦に区切らないでください。 「今日は骨、明日は筋、来週は神経」ではなく、「今週は上肢、来週は下肢」と部位で区切る。 そうすれば、骨・筋・神経が一度に、しかもつながった形で頭に入ります。

まとめ

解剖学は、範囲が広いぶん「やってもやっても終わらない」と感じやすい科目です。ですが順番さえ間違えなければ、必ず伸びます。

今日の数字を、ぜひご自身の学習計画に落とし込んでみてください。

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